サンクトペテルブルクで一番の観光名所がエルミタージュだとしたら、2番目の名所は多分ペトロパヴロフスク要塞でしょう。この要塞はペテルブルクの歴史と深い関わりがあり、要塞が起工された1703年がサンクト・ペテルブルク誕生の年と考えられています。
現在では要塞内に聖堂、博物館などが点在しており、要塞というよりは総合博物館といった感じ。最低でも半日はかけてゆっくり見たいところです。
ペトロパヴロフスク要塞にはこれまで2度行ったことがありますが、新たな見所も出来たようなので、今回行ってみました。
要塞内で一番目を引く建物はペトロパヴロフスク聖堂。ペテルブルクの景色というとほぼ必ずこの聖堂が入っているので、どこかで見たことがある方も多いかと思います。中にはピョートル大帝以降歴代の皇帝の墓があります。1998年7月17日に最後の皇帝ニコライ2世とその家族の遺骨がこの聖堂内で埋葬されましたが、それから一度も行ったことがなかったので、実際どうなっているのか気になっていました。「おかしいなあ、墓がないなあ」と思っていたら、以前は公開されていなかった(多分)小さな部屋の前に人が集まっているのを発見。「聖なる大殉教者カタリナの付属礼拝堂」でした。説明書きを見ますと、ニコライ2世一家の遺骨はここに埋葬されたとのことです。
写真左はピョートル大帝の墓、右はカタリナの付属礼拝堂です。


ところで、今回一番見たかったのは監獄。要塞内にはドストエフスキー、ラジーシチェフなど有名な政治犯が幽閉されていた監獄があります。もちろん、以前見たことはあるのですが、あまり覚えていないので、もう一度しっかり見たいと思って。…ですが、行ってみたら現在修復作業中で、公開されるのは2008年ということでがっかり。しかも、監獄へつながる門も閉まっているので、建物すら見ることができませんでした。ロシアって、修復作業が始まると長いんですよね~。
気を取り直して、要塞指令館へ。ここは現在サンクトペテルブルク歴史博物館になっています。確か、以前はなかった気が。とにかく、見るのは初めてです。この博物館、予想以上の充実ぶりにびっくり。最初の展示物はペテルブルクというよりはノヴゴロドなどを含めた周辺地域全体の歴史にあてられていて、時代も10世紀くらいからだったでしょうか。これが延々と続き、内容も興味深かったのでじっくりと見ていたら、サンクト・ペテルブルクにたどり着くまでに疲れてしまいました。後半は18世紀以降、主に19世紀から20世紀初めの人々の生活ぶりが展示されていて、これは見ていてとにかく楽しいものでした。
たとえば、こんな風に19世紀末から20世紀初頭のミシンも展示されていました。なんとなく、サンクトペテルブルクコーナーに関しては展示の仕方が新しい感覚な気がします。日本の歴史村などに近いというか。大きな建物の中の各部屋にミニチュアドールを配して人々の暮らしを再現したり、映像資料があったり。特に中世に興味がない場合は、最初の展示物はさっと流して、18世紀以降をじっくり見るといいと思います。私はもう中世で疲れてしまったので、後半は流しました…。

他にも各種展示場はあるのですが、とにかく見るべきなのはこの二つです。あとのものは、まあ時間がなかったら省略してもいい感じ。ただし、宇宙・ロケット博物館は見ていないので、ここがどうかは分かりません(疲れたので見ませんでした)。