日本手外科学会
すっかりご無沙汰しました。
以前、手首が痛いことをちらっと書きましたが、ようやく日常生活にはほぼ支障がない程度に回復しました。こうなるまでに2ヶ月半かかりました。でも、最初から正しい診断、正しい治療を受けていたらそんなことにはならなかったはずです。手の不調でお悩みの方が私のように無用に痛みに耐えないですむように、そして私の経験が少しでも参考になればと思い、今回の経緯を書くことにしました。
手首が痛くなったのは、本当に突然でした。2月の半ば、この日で今年度の仕事も一段落というその日、すべてを終えて帰宅したあと、気がついたときには右手首が猛烈に痛くなっていました。その晩は、右腕全体がしびれたような痛さを抱えたまま寝ることになりました。
突然そんなことになったので、自分でも知らないうちに手首をひねったのだろう、1週間もたてば自然に治るだろうと、当初はそれほど深刻には考えていませんでした。ですが、1週間たっても全く治る気配がなく、痛みもいっこうに取れないので、近所の個人医院(整形外科)へ行きました。レントゲン写真では異常がないので、多分ひねったか何かで骨と骨の継ぎ目のゼリー状の部分が傷ついたのだろうということで、痛み止めの注射を打たれました。ただ、その注射も、当日は痛みが取れたというよりは腕の感覚がないような、しびれたような、気持ち悪い感じになっただけで、全く効果はありませんでした。少し様子を見ようと10日ほど待ちましたが、いっこうに良くならないので、再度病院へ行きました。注射は効果がなかった、手の感覚がおかしくなったのであまりやりたくないといったら、ではマイクロ波を当ててみましょうと、それから2週間、5回ほど通いました。こちらも全く効果はありませんでした。そしたら突然先生に、「あとは手術しかない」とあまりにも思いがけないことを言われ、びっくり仰天しました。何かあまりに唐突で、本当に手術が必要なのか、何とかならないのか、ここは他の医者の意見も聞いてみるべきだと、病院を変えることにしました。この時点で、すでに3月末になっていました。4月からは本格的に仕事が始まり、通院できるかどうかも怪しかったので心配でしたが、そんなことは言っていられませんでした。
その、新たな先生を探す中で、病院によっては手の外科専門の医師がいることを知りました。そして、「日本手外科学会」という学会が存在することも知りました。公式HPはこちらです。手外科専門医リストがありますので、そこから、どの病院にこういった医師がいるのか知ることが出来ます。私も、このリストに掲載されている医師に診ていただきました(予約・紹介状が必要だったので、10日ほど待ちました)。そして、さすがに手専門の先生だけあって、すぐに私の病気を見抜きました。ドケルバン病でした。いわゆる、親指の腱鞘炎です。
私の場合、どのくらい痛かったかと言いますと、右手でシャーペンの芯を出すことが出来ないほどでした。痛くて親指を伸ばせないので、ノックできないのです。右手で髪の毛をとかすことも、ティーカップを持つことも出来ませんでした。お箸を使って食事をするのも、一口一口運ぶたびに、手首を若干ひねることになるので痛みがあり、途中で食べるのがいやになるほどでした。食材を包丁で切るときは、歩くたびに割れたガラスを踏むほどの痛みを味わう人魚姫の気持ちが分かる気がするほどでした。朝起きたときが一番痛く、手首のあたり全体が完全に固まってしまっているかのようでした。
診察した医師にも、「相当痛いようですね、これでは日常生活に支障があるでしょう」と言われました。そして注射を一本打たれました。以前の医者とは違い、注射を打つ場所を丹念に探していました。とても細いところを打つのだそうです。注射を打ってから最初の5日ほどは、注射針によってどうしても付いてしまう傷のためか、さらに痛みが増しました。もう、パソコンを打つのも無理なほどでした。ただ、それがすぎると、確実に痛みが減ってきて、出来なかったことが少しずつ出来るようになっていきました。そして、5月に入ってようやく親指を伸ばし、手首を振ることが出来るようになり、とりあえず治療は一段落ということになり、もしまた痛み出したら来るようにと言われました。その間、病院へ行ったのは3回、注射を打ったのは1回だけ。それで、確実な治療効果があったのです。やはり、自然治癒しそうにない場合は、とにかく早く専門医に診てもらうのがなによりも大切と、身をもって実感しました。
ただ、この注射は3ヶ月に1度しか打てず、また、それも何度もは出来ないので、また痛くなることがあったら、そのときは手術を受けた方が良いと言われました。今回も、この注射でだめだったら手術と言われていました。
通院は終わったとは言っても、まだ完全に元には戻っていません。右手で重い荷物を持つことは無理ですし、右手に負担をかけないように心がけてはいても、やはり仕事から戻ると手首が痛みます。パソコンも、特にマウスが良くないようで、少し無理をするとやはり痛みます。とはいっても、以前の痛みから考えればずっと小さな痛みではあるのですが、やはり不安はあります。
今回いわれたのは、とにかく普段から手を冷やしてはいけないということでした。最近の東京は冬も暖かいのでほとんど手袋をすることはなかったのですが、それがいけなかったのかと反省もしています。それから、重い本を持ち歩いていたのがいけなかったかなとか、マウスにもっと気を配るべきだったかなとか。もう、無理は利きませんね。
洋裁も、先週からようやく再開しました。ミシンはやっぱりとても楽しいです!でも、手縫い部分はやはりまだ少し負担になるようなので、こちらも無理のないようにやっていかないといけません(まあ、元々それほど縫えていませんが…)。
今回の病気は女性に起こりやすく、また手をよく使う人が罹りやすいそうです。私は、手を使いすぎたというよりも多分もともと手が弱かったのだろうと思っていますが、原因は何であれ、手に不調を抱えているけれど、どの医者に診てもらえば良いか分からないという方が他にもいらっしゃるかもしれませんので、そういった方に少しでもこの記事がお役に立てれば幸いです。また、手外科学会のHPには手の病気がいろいろと載っていますので(こちら)、そちらも参考になるかと思います。
« 日常へ | トップページ | 野田琺瑯のスプーン »
「料理・暮らし」カテゴリの記事
- マーマレード、だし、梅干し(2016.07.31)
- つきのあかり(2014.01.07)
- 右手親指腱鞘炎(ドケルバン病)-手術後(2012.01.11)
- 右手親指腱鞘炎(ドケルバン病)-手術(2012.01.10)
- 右手親指腱鞘炎(ドケルバン病)その後-手術まで-(2012.01.09)