吉野旅行 -竹林院群芳園-
吉野旅行のもう一つの目的は、千利休が作庭した大和三庭園の一つ、竹林院群芳園を見ることでした。
すでに時間も遅く、天気も下り坂だったので、最高の状態ではありませんが、それでも良い庭園でした。桜の季節はさぞかし美しいことでしょう。
今回の旅行が良かったのはここまで。吉野旅行を思い立ったのは春に旅番組を観てですが、なぜか、この竹林院群芳園を見られるのは宿泊客だけと思い込み、敷地内にある老舗旅館「竹林院群芳園」に泊まりました。本当は、300円払えば庭園だけ見物できたのですが。
こちらの旅館、我が家の歴史に残る駄目旅館でした。本当は、旅館に関しては口をつぐもうと思っていたのですが、あまりにNGポイントが重なったので思い切って書くことにしました。
私たちが予約したのは「【東南館】和室10畳」、一人15000円の部屋。
この写真だと問題なさそうですが、実は部屋中央にあるメインテーブル、一面びっしりと埃がついていました。指で撫でると埃がつきます。部屋の隅の、目立たない場所に埃があるならまだしも、宿泊客がメインで使うことになるテーブルが埃だらけというのはどうよ?です。多分、何日も拭いていないのだと思います。
また、部屋にあった袢纏、前の宿泊客のハンカチが入ったままでした。毎回クリーニングに出さないまでも、ほんのちょっとのチェックくらいしたらどうでしょう?
それでも、期待をしてしまう食事。
この食事会場に入ったとき、この先何も期待できないと悟りました。歴史ある老舗旅館。ある程度風情ある部屋で食事できるのかと思いきや、この殺風景な、宴会場?みたいな部屋。しかも、会議室で使用するようなテーブルにクロスをかけた、趣も何もない事務的なテーブル。そして壁はところどころ穴が空いていたり、壁紙が剥がれていたりする…
最初に食卓に並んでいた料理。少し前菜を食べてから焼き物を温かく食べたいと思ったのに、仲居さんは席に着いたとたん、卓上コンロにすぐ火を付けました。鍋は火が通るのに時間がかかるから分かるとしても、火が消えないうちに肉、野菜を焼かないといけない…これ、あきらかに、仲居さんの手間を省くためでしょう。
また、生肉を触った箸でそのまま他の料理を食べるのは気が進まなかったので、もう一本箸をお願いしたところ、「えっ?そうなの?そんなことが気になるの?」というふうに、ちょっと馬鹿にしたような態度を取られ、気分悪かったです。
利休が考案したという、この宿自慢の利休鍋。先に食べていた夫に「おいしい?」と訊いたら、夫は返事せず。無視されたか?と口にして、返事がなかった理由が分かりました。あとから夫曰く、「さきに不味いと言ったらがっかりさせるし、でも美味しいって嘘もつけないし、だから黙っていた」。出汁が圧倒的に美味しくない。ちゃんと出汁をとっていない。これでは利休も泣く。
一応出てきた天ぷら。なんでしょう?スーパーのお総菜の方が美味しいのでは?
この先も料理は出てきたのですが、もう、写真を撮る気も失せました。全く味のない鰆、びっくりするほど、ぼそぼそで不味い米…全体的に食材の質が悪い。唯一ましだったのが、牛肉と湯葉でしょうか。
そして、仲居さんの給仕も最悪でした。料理を運んでくるだけで、空いた皿を全く下げない。皆、手ぶらで帰っていく。だから客は新たに来る料理のために、脇に自分で皿を積み上げないとならないのですが、そういう状況にまったく気がつかないのか、無視。総じて、宿泊客への対応が上から目線と言いますか、なにか修学旅行生でも相手にしているような態度、物言いでした。
一応、朝ご飯の写真も載せておきます。
館内にはこのように風情ある場所もあります。でも、15000円の宿泊料金では無縁の場所。部屋から見えるのは美しい庭ではなく駐車場。値段の高い部屋の宿泊客は趣ある和室で朝食ですが、私たちはあんな事務的な部屋。
本当は、朝、庭園を散歩したかったのですが本降りの雨だったのであきらめました。
もっと値の張る部屋に泊まれば対応も違って、気持ちよく過ごせるのかもしれませんが、予算が15000円ならちょっとおすすめできない宿です。
こちらの宿で良かったのは、前泊した宿からスーツケースを運んでおいてくれたこと。おかげで身軽に歩けました。
それから、お土産として販売されている、こちらの庭園の桜で作ったという、桜の塩漬け。豪華な桜茶が楽しめます。