夏の長崎・五島旅行 ー長崎2日目 大浦天主堂ー
午後は大浦天主堂とグラバー園へ。市電で「大浦天主堂」駅に行き、まずは住宅街を抜けて大浦天主堂に行きました。
長崎と五島は潜伏キリシタンの地ということで、以前からなんとなく関心がありました。それが、はっきりと「いつか訪れたい場所」になったのは、2015年に両親が五島ツアーに参加したのがきっかけだった気がします。2018年に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録されたときは正直、観光客が増え、宿泊施設が高騰して行きにくくなってしまうかもしれないと思いました。
今年の夏は当初、久々に海外旅行をするつもりでした。ですが、意を決してツアーに申し込んだところ、「先日大量キャンセルが出て、このツアーは中止になりました」と言われてしまいました。ツアーに参加するためにせっかく空けた日程、それなら前から行きたかった長崎と五島に行こう、というのが今回の旅行決定のいきさつです。
せっかく行くならば、潜伏キリシタン、かくれキリシタンの歴史をある程度知っておかなければいけません。そこで購入したのが後藤 真樹著『かくれキリシタン 長崎・五島・平戸・天草をめぐる旅 (とんぼの本)』です。一度図書館で借りて少し読んでみて、気に入ったので注文しました。最も気に入ったポイントは、「今」について書かれていることです。外海、五島列島、平戸、天草と、地域ごとに潜伏キリシタン、そしてかくれキリシタンの歴史と現在の状況が、今を生きる関係者に取材し、その語りを通して記述されています。もちろん、キリスト教の広まりと弾圧の歴史と主要な教会堂を紹介したページもありますが、本の大半は関係者の話と美しい写真をもとに、現在と現在に至る過程に割かれています。すでに伝統が簡素化されたり、信仰そのものが失われたところもあり、受け継がれた完全な姿を子供の頃に直接見て、ある程度肌で知っている、そうした人々に話を聞ける、今が最後のチャンスなのだと、この本を読んで思いました。色々と大変勉強になりました。
この大浦天主堂は、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」としては長崎で唯一世界文化遺産に登録されています。
この天主堂を有名にしているのは、なんといっても「信徒発見」でしょう。
1854年の日米和親条約に続き、1858年に米・英・仏・露・蘭と修好通商条約を結ぶと、ローマ教皇庁は日本での再布教をパリ外国宣教会に託しました。日本がまだ禁教令下にある1864年、フランス人のための大浦天主堂が完成します。翌年1865年2月19日、ジラール教区長により天主堂は「日本二十六聖人殉教者聖堂」と命名され、献堂されました。その1ヶ月後の3月17日、プチジャン神父が祈りを捧げていると、数名の女性が近づいてきて「私たちはあなたと同じ心だ」と言い、「サンタ・マリアの像はどこか」と尋ねました。信徒発見でした。
天主堂の中ではこうしたいきさつを説明する音声が流れているので、一度通しで聞くと良いと思います。このときのサンタ・マリア像は今も天主堂内に安置されていますので、見ることができます。
そして、隣接する旧羅典神学校と旧長崎大司教館は2018年からキリシタン博物館になっています。禁教時代を含め、日本のキリスト教史全体の流れが紹介され、また様々なキリシタン関係展示物がある、なかなか見応えのある博物館です。ここも時間をかけてじっくり見る価値があるのですが、酷暑の中、天主堂、そしてこの博物館は冷房が一切なかったので、長居は厳しいものがありました。
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