高橋ヒロ著『まいにち米粉 パンと料理とお菓子』
昨秋、小麦アレルギーと思われる症状が出ました。ある日、朝食のあと皮膚、そして喉元から胃にかけて、軽いアレルギー症状が出ました。そのときは、ひょっとしたら今飲んだブレンドティーが原因かと思い、それは捨ててしまいました。ですが、翌日はこれまでの人生で経験した中で最も重いアレルギー症状が出ました。皮膚の赤み、嘔吐、息苦しさ。とても起きてはいられず、数時間横になって、時が経つのを待つしかありませんでした。幸い朝食なので食材もそれほど多くはなく、そのあと一つ一つ食べてみて原因を潰していき、最後に残ったのは一番怪しいと感じたパン、つまり小麦でした。ホームベーカリーで焼いたパンなので、材料はすべて分かっています。これほどのアレルギー症状を放置するわけにはいかないので、病院に行くことにしました。コロナ禍なので、いつもの病院ではなくネット予約できる内科を選びました。はっきり言って、ダメダメな病院でした。最近、美容院でもその病院は評判が悪いという情報を得ました。やっぱり。ただ、小麦を含む麦系(ライ麦など)のアレルギー検査を一通りしてもらい(幸い検査は外注ですし)、結果は驚きの陰性。それでもやはり、小麦の摂取が続くと喉元から胃にかけてつまったような、気持ち悪い感じがでます。医学的には陰性でも、やはり小麦はできるだけ避けるべきなのだと思います。
小麦を避けるとなると、代用品として思いつくのは米粉。1年前まではまったく見向きをしなかった米粉、今はなくてはならない存在です。自宅の料理では今や小麦粉は一切使わず、すべて米粉。それを可能にしたのが 高橋 ヒロ著『まいにち米粉 パンと料理とお菓子 』です。はじめは自分で適当に米粉を使っていたけれど、夫に「本を買ってみたら?」と勧められ、書店で気になったこちらの本を購入してみました。買って本当に良かったです。米粉の世界が無限に広がりました!この本の良いところは、お菓子作りに適した米粉、パンに適した米粉など、米粉が種類別に具体的な商品名とともに紹介されていること。目的に合わせて米粉を使い分けないと「やっぱり米粉ではダメなんだな」となること必至です。
まず最初に作ってみたのは憧れのケークサレ。本当に簡単においしくできます。今では我が家の朝ご飯の定番。中の具材は色々変えて、最近はあっさりにするためにレシピからチーズを省いています。もう何度作ったか分かりません。
そして繰り返し何度も何度も作っているのがパウンドケーキ。米粉のパウンドケーキはちょっと想像がつかないかもしれませんが、案外普通です。小麦よりも軽いのが特徴なくらい。写真は「ココアバナナパウンドケーキ」。今はココアなしで、その分米粉を増やして作っています。それから「レモンポピーシードパウンドケーキ」はそのものズバリで作ったことはないけれど、これを参考に、バターを油に置き換えて色々な具で作っています。小豆抹茶ケーキ、サツマイモケーキなど。砂糖は減らして、干しぶどうで甘みを出しています。本当に簡単で美味しいので、市販のパウンドケーキは一切買わなくなりました(そもそも、小麦問題がありますし)。それから、「キャロットケーキ」もときおり作ります。数日に1度焼いて、米粉ケーキを常備しています。
他には「さつまいもスコーン」、「かぼちゃドーナツ」を作りました。これも美味しいです。パウンドケーキより少し面倒ですが。
料理編からは「餃子」、「南瓜のニョッキ」、「お好み焼き」を何度か作りました。餃子は皮を米粉で作るわけですが、モチモチです。米粉のお好み焼きは食べたあと胃が軽いのがとても良いです。総じて、米粉は胃もたれしません。天ぷらも米粉で作りますが(この本のレシピではなく、通常の天ぷら粉のレシピで小麦を米粉に置き換えるだけ)、簡単にカリッと揚がり、冷めて温め直してもカリッとしています。米粉を使い始めてから、いきなり天ぷらの腕前が上がりました。同じくムニエルもいきなり上手になりました。米粉は小麦よりも油を吸わないためか、フライパン(我が家は鉄製)からスルッと剥がれ、カリッと焼けて、こちらもレストランのように上手に焼けるようになりました。
私はアレルギーが原因で米粉を使うようになりましたが、アレルギーに関係なく、食材の一つとして米粉はもっと普及して然るべき、と思っています。米粉を使えばもっと手軽に、上手に作れる料理がいろいろあります。そして、胃もたれがしない。お勧めです。